「健さん愛してる」
2014年 11月 22日
あの曲をやりたいといって引っぱってきたのは、三線の宮内君である。悲哀に満ちた名曲。
初めてあれを聴いた時、マジで鳥肌が立った。歌詞の中の男は高倉健に心酔している労務者。
「棒付キャンデー舐めながら、あんたが人を斬るのを観るのが好き」
「私は人を斬った事がなく、刺身包丁も持ったこともなく」
「ねぐらはいつも深夜映画館」
名文句満載の歌だと思う。さすがに訃報を聞いた時、すぐ宮内君へメールしてしまった。
「あの曲はずっとやっていきましょう」と結んだ。その日の夜、返信がある。実に彼らしい内容。
「オレは高倉健に思い入れはないし、私生活や素顔も興味はない。
けど、あの歌の男は“映画の健さん”をたまらなく愛している。
そういう部分がいい。映画と同じように、ずっと残っていければと思う」
とまぁそんなことが書いてあった。
そうか、あれは健さんそのものでなく、健さんを愛してやまない男の歌だもんね。
宮内君は、健さん同様とても無口な人だが、たまにとても大事なことを教えてくれる。
健さん安らかに。
平馬