ハンマー
2015年 01月 21日
夫婦関係の崩壊。それを極端な表現でひとつの映画にしたものである。
ボクがデヴィッド・フィンチャー監督で最も好きな作品は「セブン」だ。
その劇中にこんな台詞がある。
「人はトントンと肩を叩いても振り向かない。肩をハンマーで砕かないとわからないんだ。」
これは連続殺人犯が車内で刑事たちに言い放ったコトバ。インパクト大。強烈だ。
ボクは、監督デビューしたこの映画のワンシーンに、フィンチャーの信念をみたような気がした。
以降も「ゲーム」「ファイトクラブ」「ゾディアック」などなど、
まるで狂気すら感じる物語を、20年以上のキャリアの中でずっと撮りつづけている。
すなわちこれこそが、監督なりのハンマー。それを客へ打ちこんでいる疑似行為なのだ。
なので、最新作である「ゴーンガール」も、実に見ごたえのあるフィンチャー節が炸裂した。
しかし、ストーリーの主軸である「夫婦間の破滅」や「男女の欲」にマトを絞ると・・・
僕は、デレク・シアンフランス監督作の「ブルー・バレンタイン(2011年公開)」に軍配をあげる。
あの映画のリアリズムは、ハンマーを凌駕している。
平馬