後の祭り
2021年 08月 30日
「ドライブ・マイ・カー」は自力解釈型映画。
登場人物それぞれの人間関係を描いている。ってことは必然的に根本は「恋愛もの」ということだ。世の中には掃いてすてるほど恋愛映画があるが、この作品はとても描写がリアルだった。
だいたい夫婦のこととなれば、おとぎ話やファンタジーになりようがない。むしろホラーである(笑)。ちょいと斜に構えて視点をずらしてみると、どんなカタチの恋愛でも男と女による『お祭り』である。
現実的には、前夜祭が1番盛り上がるってこと。それでもオンナは本祭りを堪能し、いつだってオトコは“後の祭り”だけが残る。まるで打ち上げ花火の後に残る煙のようだ。うん、そういうもんさ。
このような恋愛の法則・摂理を、家福(主人公の男)が理解していれば、あんな苦悩に苦悩を重ねる思考にならなかったはず。女々しく、惨めで、まどろっこしい、まさに三重苦だ。これほど主人公が無様な映画はそうあるものではない。
ヘーマ