平塚の母❶

　一昨日深夜に訃報が届く。

　高校時代の友人Yとは腐れ縁に近い。いったい何回泊まったことか。平塚にある家には必ずY家の両親が揃って在宅している。なぜって父は獣医師、母は薬剤師。動物病院と薬局が併設された家だからだ。

　ふつう友達の家に遊びに行けば、部屋から出ないで酒盛りとなるが、Y家はちょっと違う。みんな上がるとキッチンへ突入(笑)。そこには10人掛けの巨大なテーブルがある。おじさんは主役席が定位置。

　おばさんの方は、座っている姿を当時あまり見なかった。とにかく慌ただしく動き回る家族。1人1人が幾つも何かに携わっている。Yは4人兄妹の長男。すぐ下に弟Sと妹C。5つ離れた末っ子Aはこの時小学生だった。

　弟の友だちもゾロゾロいたりして、これが「人が集まる家」ってやつだと感心した記憶がある。おばさんは天真爛漫で心配性。ボクが上京して暴飲暴食のかぎりをつくしているのを即見抜いた。

　「平馬ちゃん、腎臓が弱っているかもよ。これ飲みなさい」と、1瓶2万円もするクロレラ錠をプレゼントしてくれる。約2ヶ月ほどこれを服用すると、妙な顔や脚の浮腫みがとれた。おじさんも栄養学のプロ。

　ホントに色々教えてくれる。そして、お二人とも各地で講演をしているだけに、お話がとても上手いのだ。おばさんは昨年から施設に入所。看取り介護だった。面会にYが行くと、ボクの心配をしていたという。3月23日、平塚の母は静かに旅立った。

つづく。

ヘーマ